明治維新後には多くの欧米系商社が日本に店を開きます。その多くはグラバー商会やアーレンス商会などのような兵器商人ですが、日本の美術品を扱う商社もありました。マリアンズ、ストローム、ロットマン、ホーム、セールなどです。このうち、マリアンズ(Marians)商会は、何度か組織変更や名称変更を行い、1901年(明治34年)に名称をPriest, Marians & Co., (プリースト・マリアンズ商会)として、横浜263番地を拠点としました。 さて、本作は、そのプリースト・マリアンズ(銘はマリヤンス)商会が自社の社名を入れて、有田のいずれかの窯元にOEM生産させたものです。墨弾きの手法で梅花紋を器面一杯に描いた大皿です。窯元名は不明ですが、同時期に青木兄弟社が同様の品物を作成していますので、同窯元の作かも知れません。いずれにしても、商社名、特にプリースト・マリアンズ商会の銘が入った作品は極めて稀少です。私も、これ以外には同銘の傷モノの花瓶を一度見たことがあるだけです。 寸法は、直径31cmです。ワレ、カケ、ヒビなどの瑕疵は一切ありません。多少の使用跡はありますが、全体として良い保存状態です。