横浜田代屋の明治から大正にかけて製作されたと思われる鯛型の蓋付き深皿を出品致します。寸法は、長辺20センチ、短辺14センチ、高さ10センチです。 当時は日常の食器としてたくさん造られたものと推測されますが、日用品として作られたものは破損して、残存しているものが殆どありません。私もここ数年で発見したのはこの品物だけです。真葛ミュージアムの山本館長が田代屋の同様の品物をお持ちですが、そちらは白いブリのような魚のレリーフで、正直なところこちらの方が遥かに見栄えが良いと思います。ワレ、カケ、ヒビ等の瑕疵は一切ありません。とても綺麗な状態です。 田代屋は有田出身の豪商田代紋左衛門が設立したため、当初は有田焼の販売をしていました。しかし、第二回内国勧業博覧会(1881年)の田代屋出品目録には瀬戸・薩摩の素地に横浜の陶画工が絵付けした製品を出品していますので、明治10年代以降は有田焼以外の製品も製作販売したことがわかります。本作もおそらく瀬戸の素地に横浜で絵付けしたものと考えられます。 尚、他にも何点か出品しております。併せてご覧頂ければ幸いです。