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2001年度日本独自リマスターとなりますが、Abbey Road Masteringの御馴染みPeter Mewによるもの。
Peter Mew特有の低音強調と音の輪郭の角張りが有り、幾分リミックス感がございます。
”Tales of Mystery~Cozy Powell"s Drum Solo”が追加されております。
但し、そもそも作品本編には収められなかったもので当時のミックスでの音調整が為されていない事で違和感が音的にございます。
次のライヴ盤”Rock Will Never Die”完全版での「作品化音源と映像音源」の音のズレに近いものがございます。
また、当初の日本のみリリース時のプロデューサー「T.Leo Sato & Hiro Kadoma」制作時のマスターテープを使用したものではない感がございます。
後の英国リリース時に再制作となった感のある今作のマスターテープ(低音強調の感が有り、英国再販レーベルからの再発の際もこちらの感)を使用した感がございます。
紙ジャケットは日本リリース時の仕様を復刻した感がございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは極初期の興味深い名手揃い。
Michael Schenker(G、ex-Scorpions、U.F.O.、後に再編U.F.O.、Michael Schenker Temple of Rock、Michael Schenker Fest他)、故Cozy Powell(Ds、ex-Big Bertha、第二期Jeff Beck Group、Bedlam、
Cozy Powell" Hammer、Rainbow、後にWhitesnake、Phenomena:Project、Emerson,Lake & Powell、Forcefield、Gary Mooreセッション、Black Sabbath、Brian May、Peter Green Sprinter Group他)、
故Paul Raymond(Key、G、B-vo、ex-Plastic Penny、Savoy Brown、U.F.O.、後にWaysted、新生U.F.O.、The Paul Raymond Prject、再編U.F.O.)、
Chris Glen(B&Acoustic G"Tales of Mystery一曲のみ"、ex-The Sensational Alex Harvey Band、後にGMT)、Gary Barden(Vo、後にStatetrooper、Silver、Michael Schenker Fest他)
となります。
プロデューサーはDavid Wooley/David Kirkwood/MSGとなります。
1981年8月12日日本武道館での実況録音となります。
ようやく待望のMichael Schenker/故Cozy Powell/故Paul Raymond/Chris Glen/Gary Barden編成による新作制作となったMSG。
Michael Schenkerは全盛期U.F.O.での実績を鑑み、”Ron Nevison”をプロデューサーに起用する事となります。
(但し、Michael Schenker自身やマネージメントの判断の模様で故Cozy Powellは選択に関与していなかった模様。
故Cozy Powellはその選択に危惧、「相談の一言があればヨーロッパ圏のプロデューサーを推薦した」との事)
その危惧は当たる事となりますが、当のRon Nevisonは制作不振。
おまけにレコード会社側から「(前作の全米での相当なセールス不振があり)売れる作品を!」との圧力をかなり掛けられており、余計に拍車を掛ける事となります。
制作が始まるもののRon Nevisonは制作不振の上に商業的な圧力の中で混乱していた感。
「バンドの音楽性」を把握出来なかった感が有り、1~2テイクで録音完了となる名手故Cozy Powellに再録音を行う等々の混乱が生じ、バンドとの対立が生じる事となります。
紆余曲折の上にようやく録音が終了するものの、大幅な予算オーヴァーの上にスケジュール・オーヴァー。
バンドはツアーのスケジュールが迫っており、ミキシングはRon Nevisonに委ね、バンドはツアーに勤しむ事となります。
待望の来日公演直前にようやく完成。バンド側が確認すると、その出来に激怒。
故Cozy Powellはリミックスを申し出るも、予算オーヴァーやリリース・スケジュールの問題から却下と相成り、渋々リリースに同意。
そして、ラジオ放送用録音を三度控えた日本公演に臨む事となります。
日本公演が始まるも今度は故Cozy Powellが極度で深刻な体調不良に陥り公演続行が危ぶまれる事となりますが、何とか持ちこたえ完了。
ラジオ放送用収録の三音源から「日本武道館公演」が選ばれ、そのラジオ放送音源に演奏修正等を加える(”But I Want More”は再録音)段階で、
当時は毎度御馴染み「Live in Japan」企画が持ち上がり、バンド側は承諾。
ラジオ放送用修正マスター完成そしてツアー終了後、本格的に作品として制作。日本のみでリリースとなり、大評判を呼ぶ事となります。
日本公演後待望の新作”MSG”がリリースとなりますが、前作よりも全米チャートアクションが若干良いものの同じく不振。
英国でも前作を下回る事となり、バンド内も責任問題を巡って不穏な空気が流れる事となります.................
その中、日本のみリリースのこの”One Night at Budokan”が逆輸入盤として英国に齎され結構なセールスを挙げる事となります。
慌てたレコード会社側は英国発売を急遽決定。
英国リリース用に音修正制作が為され、ようやくリリース.............................という面倒な経緯がございます..................................
さて今作。
現在では公式に大阪公演昼夜2公演録音が聴かれるものでございますが、これらは故Cozy Powellが深刻な体調不良に陥る前のもの。
案外リズムの感覚が異なる故Cozy Powell/Chris Glenの名リズム隊ではございますが、それらでは上手く摺り合わせが出来ているもの。
これらの音源を基に制作すべきであったのでは?とのファンの指摘がございますが、Michael Schenker曰くの「ギターの出来が良かった」事で選ばれた「日本武道館」公演でございます。
(そちらの音源ではMichael Schenkerの演奏ヨレヨレ度が目立ち、故Paul Raymondもキーボード演奏でのキーを間違えている箇所が目立つもの。Gary Bardenは案外という感............
そのそもその件のBOX解説曰くは「警告:通常のライヴ盤の様な質は期待出来ません」との事)
深刻な体調不良から故Cozy Powell特有のリズムのキレ等が弱い面がございますが、バンドのスケール感を醸し出す演奏は見事という感。
(但し、故Cozy Powell曰くは「演奏には満足していない」との事)
また故Paul Raymondの見事なキーボードワークもこれに加わっており、この時代特有の音楽性が窺えるものでございます。
U.F.O.時代からこの時代に掛けてMichael Schenkerが神憑り的ではございましたが、それを演出したのがPaul Raymondという感がございますが、
故Cozy Powellと共に拍車を掛けていった感がございます。
また名手Chris Glenでございますが、故Cozy Powellの体調不良を気遣う感が有りそれがリズム面の演奏に聴かれるもの。
双方共に結構なキャリア組という事があり、阿吽の呼吸でリズムを擦り合わせている感がございます。
当時の新作”MSG”で問題になった当時のラインナップ特有の躍動感や迫力、スケール感が今作で強く感じられるもの。
英国リリース後に総合チャートで5位に上り詰めた事が理解出来るものでございます。
また故Cozy Powell曰くの「(新作”MSG”は)Ron Nevisonがアレンジを弄り過ぎた」との事でございますが、バンドとしての正解がここで聴かれる事がミソでございます。
また故Cozy Powell/故Paul Raymond/Chris Glenの参加タイミングの遅れ(Chris Glenの参加は故Cozy Powell待ちの為)で前作は(実は)ジャズ系セッション・ミュージシャン参加制作となりましたが、
ここで(当時は)大傑作1st”The Michael Schenker Group”楽曲の待望が故Cozy Powell/故Paul Raymond/Chris Glenを加えた形で新アレンジで聴かれるというものでございます。
正直ジャズ系名手陣Simon Phillips/Mo Foster/Don Aireyが持ち込んだアイデアを故Cozy Powell/故Paul Raymond/Chris Glenが独自解釈、改訂・削除した感のもの(特に故Cozy Powell)。
よりHR/HM色の強い躍動感や迫力、スケール感等を強めた感があり、こうなる筈であった2nd”MSG”と音楽性を擦り合わせた感がございます。
一部ファンの間ではSchenker/Powell/Raymond/Glen/Bardenのラインナップで1stを制作すべきであったとも言われます(当時の参加タイミング的に無理と言えるものでございますが........)。
されどPhillips/Foster/Aireyのアイデアがあってこそ成り立つ、という感がございます。
U.F.O.時代の楽曲が一曲のみという事ではございますが、この新バンドに賭けるMichael Schenkerのみならず他の四名の想いが感じられるもの。
当時はプログレ、HR/HMのみならずキャリア組新バンドやスーパー・グループ(”Asia””The Firm”等々)は過去楽曲を極力行わない、せいぜいソロ・パフォーマンスのみという時代。
それに沿った感がございます。
また、実はスタジオ録音時にはギターは演奏していないとMichael Schenker等々に指摘されていた名手故Paul Raymondでございます。
故Paul Raymondが残した参加作の中でもギター演奏が目立つ感がございます......................
日本公演後ツアーを継続、また今作を制作したバンドは新作”MSG”のセールス不振の責任問題を巡って不穏な空気が流れ、
結果Gary Barden/名手故Paul Raymondが解雇(前者はヴォーカル、後者は楽曲アレンジの責任という感)。
バンド再建を巡り、故Cozy Powellが名手David Coverdaleにアプローチ。
名手David Coverdaleは音楽的に行き詰まっていたWhitesnakeを新作制作途中で解散、合流を試みるもののバンド名を巡り意見相違(David Coverdaleは”Whitesnake”、Michael Schenkerは”MSG”名義を主張)。
残念ながら袂を分かつ事となり、今度は故Cozy PowellがGraham Bonnetにアプローチ。加入させる事に成功する事となります。
(David Coverdaleは楽曲提供を申し出るものの、Michael Schenkerが契約した新マネージメントがDavid Coverdaleが契約解除したそれ。
故に中止となり、提供楽曲は故Cozy Powell預かり。その後の故Cozy Powell大傑作3rd”Octopuss”に収録と相成ります)
但し、Graham Bonnet加入後は新作制作・バンド運営(メンバー各自が資金を持ち寄り運営する事をMichael Schenkerが主張)方針を巡り故Cozy PowellとMichael Schenker が対立。
バンドの不穏な空気が流れる事となります...................
その中で、今作リリース後は英国総合チャート5位という大ヒットを記録(米国は当時未発売)................................
何とも皮肉な結末となります.........................................
新企画が期待されるこの”The Michael Schenker Group作品カタログ”でございますが...........................
今作は(”The Who””Genesis”の様に)音質向上・調整リミックスが期待されるものでございますが..............................Michael Schenker側に権利が...........何かねぇ...................
Michael Schenkerに絡む著作権問題等々のビジネス・トラブルが垣間見られるものでもございます.......................................
現在では入手が困難。この機会に是非。
注:発送方法は変更になる場合がございます。宜しく御願い致します。